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塩野屋の想い

46億年の地球の歴史の中で、人類誕生はわずか100万年前と言われています。
46億年を1年に例えると100万年は6時間に換算されるというのですから、人類が地球時間では全くの新参者ということがよくわかります。

その新参者が今、地球環境を我が物顔で都合の良いように改変して汚染を垂れ流し、他の生命を脅かす行為まで平気で行い、更には安全に管理する事のできない代物・原子力にも手を出して、自らの存在すら危うくしているという状況ですから端から見ると本当にひどい話です。

これまでの地球がそうであったように、進化の無い生命に未来はありません。もし今も進化を果たす人類であるならば、他の全ての生命と調和する生き方を模索し、地球人としての認識の下に生態系への復帰を果たすべきではないでしょうか。
昨今の度重なる天災の襲来や原発事故の教訓も、人々に生活スタイルの見直しを迫っているように思えてなりません。
現代の人類は、古い体制の価値観に振り回された過去の衆愚化時代ではなく、自らの五感で衣食住のスタイルを再構築する機会を得た稀な時代に生きているのです。
私たちはそれを自覚し、日々新しい生活の形を実行に移していく、その過程がとても大切だと考えます。

五感に基づいた価値観でモノを見極める

これからは、世界に標準は存在せず、衣食住すべての分野で、消費者一人一人の価値基準による製造工程のチェック、品質と出所の表示に購買の焦点が当てられると思います。そういった価値観の方々に認めていただける為にも、塩野屋では生産者の責任として、織物のトレーサビリティに取り組んでいます。
もちろん、世界各地の文化や歴史は多様であり、個人の価値観も多様です。ただ、これからは持続可能なものづくり、持続可能なビジネスであることが基本にあるべきで、その前提で、社会の常識や既成概念の枠にはめて人を判断せず、様々な価値観を認め合って、個々が思い思いに自分の好きな暮らしを作っていけるような社会になって欲しいと願います。
他を認め、愛することは個の成長には不可欠でもあり、個の物欲の追求とは対極にあります。少量生産長期消費が根付く時代が早く来ることを願います。

生産と消費のバランスを取る為のデザイン

産業革命が起こった19世紀にウィリアム・モリスは、未来を危惧して消費の抑制を唱え、それに対抗するため、真のデザインという概念を商品に与えた意味で「レッサー・アート」と叫びました。それはその真意とは逆に、後に大量生産大量消費を促進させる為のものとして、デザインの考えが広まってしまうという皮肉な結果となりましたが、塩野屋ではモリスの真意を具現化する意味でのものづくりを目指しています。
例えば、矢絣などの柄はその位置にあるものであり、材料の選び方もすでにデザインの範疇であり、製造工程も販売方法もデザインの一部と考えています。 生産と消費のバランスを取ることが必要であり、桑の木オーナーズ倶楽部はその究極のデザインであると自負しています。

人と自然のバランスを取る為のもの

品物の後ろには創り手の創意が隠されており、物を愛する上でその想いに触れるという事はとても大切だと考えています。
塩野屋は、個の認識と自覚を促すことをビジネスの目的と定め、手段として主に絹やその他の天然繊維を材料に、職人技的織編技法を製造手法として商品創りに邁進しています。
植物はもちろん、菌類に於いても地球上の生態系の一員として存在理由があり、それらの鎖を断ち切る生命は淘汰される自然法則が存在すると考えますが、塩野屋では商品に「人間と自然とをバランスの取れた生き方に導く生活費需品」としての役割を見ています。そういう意味からも、桑の自然栽培・無化学的ものづくりの取り組みを進めています。
そんな価値観を知っていただき、共感していただければ大変幸いです。

国産にこだわる理由

一物全体、身土不二、品質保証が塩野屋の基本コンセプトであることからも、材料の確保はもの創りの第一義です。顔の見える関係が品質を維持し、新しいものへの創造が生まれると考えています。
昔から二里四方に出来る食べ物さえ食べていれば病気にはならないと言いますが、その距離は今ではもっと拡がっているとは言え、日本人の衣服を国産の材料で創るという事には、健康面、文化面、自然環境保全の観点から、とても意義があると考えています。
昔は100%国内で自給できていた絹は生産量が激減しており、大麻と同様絶滅の危機にありますが、生活必需品に関する材料自給率の低下は、国民生活の存亡の危機であります。
状況の打開はなかなか厳しいかもしれませんが、塩野屋では国産養蚕の取り組みを数年前から続けております。桑の木オーナーズ倶楽部や商品購入でご支援いただければ幸いです。

絹が持つパワー

綿・毛・麻といった他の天然繊維とは違う絹糸の特徴というものがいくつかあります。
まずは「長繊維」であるということ。約1,000mもの長さを持つ繋がった糸は自然界に絹糸だけです。その細い繊維を束ねて拠り合わせ、必要な太さに調整する事が自在にできるのも絹糸の利点です。洗っても毛羽立たず、抜け落ちないという事も長繊維の利点です。
次に、蚕が自らの命を守るために作った繭の構成要素であるという点です。生命の維持装置であるという事から丈夫で長持ちするという事だけでなく、紫外線をカットし、保温性が高く、放湿性が高いという性質を持ちます。そんな繭から糸や真綿を取り出している訳です。
しかも、塩野屋ではその絹糸の取り出し方にもこだわっており、手間をかけて、丈夫さや機能性が出来る限り損なわれないような方法を取っています。
私たちの商品で、絹が持つパワーを実感していただければ何より嬉しく思います。

常用無障(つねにもちいてさわりなし)

効果効用の裏には副作用が存在することはしばしば見受けられます。しかし、日本人には(一部アレルギーをお持ちの方もおられますが)米食や豆腐などの食品に副作用は見られません。
常に用いても差し障りの生じないものこを、日用品としては最適であるという訳です。
その点では、絹は日本と共存してきた時間の最も長い部類に入る生き物であり、材料であるので、米と同様に常用無障と言えます。
日常こそ高品質のものを長く用いて、快適な生活を送ることが、生命として幸福で安全な一生を保証してくれるのではないでしょうか。

5R運動

本来創り手と使い手は同一者であることが始まりでした。自分の使うものを自分で作りだすことは産業革命以前では当たり前の事でした。それが工業化の進展が、創り手・生産者と使い手・消費者を遠くに遊離させ、消費という欲望を、間違ったデザインという手法でもって拡大してきました。
「今のサラリーマンも農業革命時の奴隷とあまり変わらない」と言えば言い過ぎかもしれませんが、しかし、一般の人々は衆愚化産業の担い手として馬鹿にされてきたのです。
消費の担い手として王様のように振る舞えることが嬉しく、それが自由であるかのように錯覚してきましたが、その先に心からの幸せや真の豊かさは存在しないという不安が芽生えだし、多くの人が気付き始めています。

また、その消費行動は自然の摂理と逆行し、大きな環境汚染や生態系破壊を生み出してきたことも、忘れてはいけません。そのしっぺ返しは既に始まっており、人類は崖っぷちまで追い詰められているのですが、それに薄っすらとは気付きながらもこれまでのスタイルをなかなか変えられないというのが今の状況であるように見えます。

しかし、今、行動を変えれば、人は瓦礫ではなく、腐葉土になれるのです。
私たちは、生物の多様性を重視し、人類のみの生態系ではない生命の循環を育む社会に変えていかねばなりません。
消費しないという5R運動の生き方でもって豊かさや幸せを掴もうとするチャレンジ、是非一緒に進めてまいりましょう。

  • ■REDUCE(リデュース)… 生産量・使用量を削減する
  • ■REUSE(リユース)… 繰り返し使う
  • ■RECYCLE(リサイクル)… 循環する・再資源化する
  • ■REVISION(リビジョン)… 環境保全型社会への見識の転換
  • ■REDESIGN(リデザイン)… 再生可能な生活者デザインとして衣食住の再構築

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