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塩野屋の想い

蚕の生命維持装置のお話

絹は蚕の繭から取り出す天然繊維のひとつです。
その他にも羊の毛ウールや綿花の種子の綿であるコットンや植物の樹皮などから取る麻糸などがあります。

繭を作る蚕がなぜ桑の葉しか食べずに成長するのかは不可思議ですが、桑には不思議なパワーが内在しているのかもしれません。
蚕は4回の脱皮を繰り返し生まれてから24日目くらいに糸を吐いて繭を作り初めます。生まれて約30gの桑の葉を食べ体重が1万倍になると糸を吐いて2gの繭に成る訳です。
種から生まれた時を1齢とし、その後、脱皮・2齢・脱皮・3齢・脱皮・4齢・脱皮・5齢・繭作り・蛹・成虫とこれらを50日ほどで経験し、次の世代に命を渡します。

蚕と言う生き物は人間が野生に居るクワコを長年飼い慣らしてカイコを作ったと言われています。この蚕ちゃんは、人が桑の葉を取ってきて上に載せるまで決して逃げずに待っているのです。

この蚕と人間のパートナーシップは犬猫よりも長い古さと絆が有るのです。共生と言う関係ですが、蚕の気持ちは実際にはわかりませんが、人間が1,000種を守り育てています。人類が滅ぶ時には蚕も滅亡することは間違いありませんから、一種の共生と言えるのです。日本では特にお蚕さんと呼び、社や伝説まで残っています。そこで一番知りたい事が繭を作った時の中の状態です。

繭を作ってから4日目位に繭の中でもう一度脱皮をします。繭を作った時は幼虫ですが、体内にある絹糸線から糸を吐いて体重の多くを占める絹糸の液体を外に 出した状態は萎んだ幼虫です。小さくなった体の中は液体化して眠ったように仮面のように幼虫はじっとしているようですが体内ではすごい変化が起こっていることでしょう。
その2・3週間は繭の中に居て、眠ったように守られながら暮らす生命維持装置としての機能を持った繭に包まれています。繭は紫外線もカットして微量の熱を出して繭の中を一定の温度に保っているようです。たぶん25度くらいの快適な温度です。外界の影響はまずありません。蚕にとっては繭も自分だと思っているのではないかと思えます。

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