妙義山のふもとに流れる碓氷川沿い、
日本に僅かに残る機械製糸工場となった「碓氷製糸農業協同組合」さん。
こちらは名前の通り、群馬の養蚕農家さんたちのための組合製糸工場でした。
織道楽 塩野屋では、数年前から直接に繭を指定して製糸していただいています。
今回も、来年の糸作りについての打合わせにあがりました。
製糸のほか、来年から是非とお願いしたのは、副産物の確保です。
もともと、碓氷製糸さんでは
製品となる生糸原糸をひく時にでるものとして、
*キビソ(1本の糸口が出るまでの、複数糸が束になったもの)
*ビス(糸をこれ以上ひけないという最後の繭層からの別に製糸したもの)
*キャリア(緒糸などが機械に絡み付いているものを、取り外したもの)
*操了蛹(糸を取り終えた繭の中の蛹)
などなどをとって、二次活用されています。
蛹カスも少し混じっていますが、残り糸を捨てずに確保。
状態別に乾燥します。
蛹は、肥料や鯉のエサなどにも活用されます。
キビソ糸が巻き取られ、乾燥されます。
塩野屋は、自社の京都産生繭からの製糸をお願いするため、
出来上がった生糸とともにその分の副産物をも、送り返して欲しいと依頼しました。
これは、工場全体で色々な繭からの糸をとっているので、
個別にするのまた一手間かかるとのコトでしたが、
がんばってみますとのコト。ありがとうございます!
今年の塩野屋の製糸を担当し、副産物のお話もさせていただいた稲川さん(一番右)は、
もう34年間碓氷製糸さんで実務を担当されているそう。
塩野屋などのように、生繭の状態での製糸をお願いするところは少ないそうで、
煮繭など、微妙な配慮をしてくださっています。
機械製糸とはいえ、やはり最後は人の想いがないと良い糸はひけません。
稲川さん、やはりお肌がすべすべで、とても親切な方でした。
常にセリシンに触っていると、違うのですね。
来年も、良い繭が出来、良い糸、良い織物が出来ますように・・・。