織の道を楽しもう

レポート/”色留袖”をお誂え。 ~その4・トレサビリティ~ 2008年11月02日 11:56
[ 塩野屋絹だより]

今回のお誂え・色留袖についての、トレサビリティをご紹介させていただきます。

DSC02585_400.jpg


<織元/ 服部芳和・織道楽 塩野屋(京都府京都市)>

蚕種/ 都浅黄(みやこあさぎ) : 大日本蚕糸会
養蚕/ 全齢桑育 : 野村夫妻(京都府福知山市)
製糸/ 生繭で諏訪式座繰り製糸 : 宮坂製糸(長野県)
経糸下撚り撚糸/ 合わせ撚糸 : 西村泰一・西村撚糸(京都府京都市)
精練/半練り : 北川富康・北川半染工場(京都府京都市)
整径/ドラム整径 : 沼田精史・沼田精史整径(京都府京都市)
横糸糊付け/姫糊・甘藷・布海苔 : 渡邉長蔵・渡邉加工所(京都府京都市)
横糸本撚り撚糸/湿式八丁撚糸 : 池田一雄・池田撚糸(京都府京都市)
製織/力織機 杉本成史(京都市与謝郡加悦町)
整理加工/地入れのし : 立石憲一/立石整理加工(京都府京都市)
友禅加工/真糊糸目友禅 : 桒垣・染織工芸 花也(京都府京都市)
仕立/手縫京仕立 : 三原俊夫/三原和裁(京都府京都市)
使い手/宮沢巳起代・織道楽 塩野屋

↑ちょっとわかりにくくてスミマセン。
後ほど、整理してトレサビリティのページに掲載させていただきます。

生地の端には、トレサビリティのメモ有り(笑)。
機番_400.jpg


上記リスト、もっと一箇所ずつ細かく書いたら、まだまだ多くの方の手を経ているもの。
絹織物、特に着物というものがこのように長い生産履歴を持つものなので、
なかなかそれを追うことができにくい業界です。
まして、今までの呉服業界の流通を経ると、メーカー、問屋、仲買、小売、etc・・・
これにさらに長い流通履歴がつきます。
食べ物で騒がれているトレサビリティですが、
大切な思いできる着物も、創り手の顔が見える一枚だとより嬉しいですよね。
(ほとんど判らなくなっている、知ろうともされていないのが現状です。)



最後に、着物の柄についても少々。
これは、文箱(ふばこ)の柄取り(枠の形)に、羊歯(しだ)が埋め込まれているもの。

「羊歯」は・・・
古くは「歯朶」と書いて「歯」は「齢」の意もあり、「朶」は「しだれた枝」で「長く伸びるもの」…。
つまり「長寿を願う吉祥」。
お正月の「裏白」も歯朶類で、成長逞しく葉も茎も枯れにくいところから、「長寿」を意味するとか。
また、雪や霜にも弱らないので丈夫であり、葉裏には胞子を沢山増えるので「子孫繁栄」の意もある。

「文箱」は・・・
もともとは、和歌や書の上達を願う意だったそうです。


はじめにこの柄を選んだとき、お恥ずかしながら「羊歯」とは気づかずに、
お願いした後になって、「コレ、何の柄でしょう?」とお尋ねしてしまいました。
「文箱に羊歯ですよ。」と、桒垣さん。
「え?しだ?しだってあの羊歯ですか?」
でも実は、私はもともと羊歯などの自然の理にかなった美しい植物のパターンが大好きでした。
なので、こんな風に羊歯という繰り返しのパタンを遠近、濃淡、陰日向など様々な表現で、
羊歯という一つのモチーフだけの繰り返しだけでも飽きせない奥深さを表現してくださり、
とても嬉しく、本当に気に入ってしまいました。


ということで、この一枚を仕上げてくださった
多くの皆様の手に感謝、想いに感謝。
ありがとうございました。
あと何十年?一生大切に使わせていただきます。

                          (みやざわ)

DSC02585_400.jpg

・・・・・番外編・帯について へつづく・・・・

 
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