今回のお誂え・色留袖についての、トレサビリティをご紹介させていただきます。
<織元/ 服部芳和・織道楽 塩野屋(京都府京都市)>
蚕種/ 都浅黄(みやこあさぎ) : 大日本蚕糸会
養蚕/ 全齢桑育 : 野村夫妻(京都府福知山市)
製糸/ 生繭で諏訪式座繰り製糸 : 宮坂製糸(長野県)
経糸下撚り撚糸/ 合わせ撚糸 : 西村泰一・西村撚糸(京都府京都市)
精練/半練り : 北川富康・北川半染工場(京都府京都市)
整径/ドラム整径 : 沼田精史・沼田精史整径(京都府京都市)
横糸糊付け/姫糊・甘藷・布海苔 : 渡邉長蔵・渡邉加工所(京都府京都市)
横糸本撚り撚糸/湿式八丁撚糸 : 池田一雄・池田撚糸(京都府京都市)
製織/力織機 杉本成史(京都市与謝郡加悦町)
整理加工/地入れのし : 立石憲一/立石整理加工(京都府京都市)
友禅加工/真糊糸目友禅 : 桒垣・染織工芸 花也(京都府京都市)
仕立/手縫京仕立 : 三原俊夫/三原和裁(京都府京都市)
使い手/宮沢巳起代・織道楽 塩野屋
↑ちょっとわかりにくくてスミマセン。
後ほど、整理してトレサビリティのページに掲載させていただきます。
生地の端には、トレサビリティのメモ有り(笑)。
上記リスト、もっと一箇所ずつ細かく書いたら、まだまだ多くの方の手を経ているもの。
絹織物、特に着物というものがこのように長い生産履歴を持つものなので、
なかなかそれを追うことができにくい業界です。
まして、今までの呉服業界の流通を経ると、メーカー、問屋、仲買、小売、etc・・・
これにさらに長い流通履歴がつきます。
食べ物で騒がれているトレサビリティですが、
大切な思いできる着物も、創り手の顔が見える一枚だとより嬉しいですよね。
(ほとんど判らなくなっている、知ろうともされていないのが現状です。)
最後に、着物の柄についても少々。これは、文箱(ふばこ)の柄取り(枠の形)に、羊歯(しだ)が埋め込まれているもの。
「羊歯」は・・・
古くは「歯朶」と書いて「歯」は「齢」の意もあり、「朶」は「しだれた枝」で「長く伸びるもの」…。
つまり「長寿を願う吉祥」。
お正月の「裏白」も歯朶類で、成長逞しく葉も茎も枯れにくいところから、「長寿」を意味するとか。
また、雪や霜にも弱らないので丈夫であり、葉裏には胞子を沢山増えるので「子孫繁栄」の意もある。
「文箱」は・・・
もともとは、和歌や書の上達を願う意だったそうです。
はじめにこの柄を選んだとき、お恥ずかしながら「羊歯」とは気づかずに、
お願いした後になって、「コレ、何の柄でしょう?」とお尋ねしてしまいました。
「文箱に羊歯ですよ。」と、桒垣さん。
「え?しだ?しだってあの羊歯ですか?」
でも実は、私はもともと羊歯などの自然の理にかなった美しい植物のパターンが大好きでした。
なので、こんな風に羊歯という繰り返しのパタンを遠近、濃淡、陰日向など様々な表現で、
羊歯という一つのモチーフだけの繰り返しだけでも飽きせない奥深さを表現してくださり、
とても嬉しく、本当に気に入ってしまいました。
ということで、この一枚を仕上げてくださった
多くの皆様の手に感謝、想いに感謝。
ありがとうございました。
あと何十年?一生大切に使わせていただきます。
(みやざわ)
・・・・・番外編・帯について へつづく・・・・