さて、生地を選んだその足で、
社長・服部の同級生・桒垣(くわがき)さんの「染織工芸 花也(はななり)」さんへ。
まずは、「お待ちしておりました~」と優しい笑顔の桒垣ご夫妻に、
合わせる帯のハギレをお見せし、
「コレにあわせる色留袖をつくっていただけますでしょうか。
生地は塩野屋のこの白生地で。9月末に着用予定なのですが・・・。」
と、無理難題をお伝えしました。
「9月末ね、お時間があんまりありませんねぇ。
できるお柄が少し限られますが、がんばりましょう。」と優しいお言葉。
早速、いくつかの見本を広げていただき、拝見させていただきました。
以前、数点の帯等を拝見していたときから感じておりましたが、やっぱり・・・
なんとまあ、上品。これぞ、京都の”はんなり”なのでしょうか。どれもうっとりです。
と、悠長なことを言っている間はなく、「今日中に決めなアカンで。時間無いで。」と社長。
ハイ、ごもっともです。
ちなみに社長のおすすめは、下記でした。
「おめでたい感じで、ええやんか。」
「こっちは、三角に柄取りされててモダンでええで。
この二つのどっちかどうや。」(←この写真が無くてすみません)
確かに一枚目は御目出度い感じ。正統派な感じ!
でもちょっと私のイメージより真面目すぎる?
そして、二枚目はほんとに、モダン!だけど、すみません、三角のとんがった感じがどうも・・・。
で、色々拝見いたしまして、悩みまくり・・・
結局こちらの柄にいたしました。
ポイントは、せっかくだから、桒垣さんらしいモダンさが欲しかったこと。
柄が重々しくなく、すっきりとした感じが気に入ったこと。
ただし、この見本は訪問着でした。
桒垣さん曰く
「もう少し色の濃淡をつけて奥行きを出して、刺繍を足して、
色留袖に合う柄行にさせていただきましょうね。」とのこと。
ありがとうございます!あとは全て、お任せいたします!!!
ということで、次は地色選び。
持参した塩野屋の染め色見本を当てて、柄の雰囲気と自分の顔色でまたも悩みまくり。
結局、おちついた鴇羽色、肌色のような桜色系に決まりました。
自分ではあまり予想していない色目でしたが、
生地の良さを活かせて、京都らしくもある薄く優しい色目で仕上げたいと思いました。
その間、社長が色留袖用に生地を断ちあわせ(右袖、左身頃、衿・・・などどこから
どこの部分をとるか印をつけておく)をしてくれました。今回は、織りキズ箇所を避けるので難しい。
ここから、さらに友禅に合う風合いに生地を整える為に整理加工屋さんへ。
その後の悉皆・桒垣さん⇒仕立・三原和裁さんへの日程を確認。
あとは、無事に上がるのを祈るばかりとなりました。
(みやざわ)
<真糊糸目友禅>について
友禅は、だいたい26工程ほどの加工工程があり、
そのいずれも塩野屋同様、職人さんたちの分業による共同作業。
つくりたいものにあわせて、職人さんを振り分け、得意な技術を引き出して
1枚の着物を仕上げてくださいます。
現在では、ほぼ9割方の友禅が、新しい”ゴム糊”を使ってつくられますが、
桒垣さんのところでは、昔ながらの”真糊糸目”を使っています。
これは、判りやすく例えたら、マジックペンと毛筆で描かれた線の差。
そして、仕上がった線の色目も真っ白とほんのりと黄味がっかった白の差という感じ。
手間をかけた作業とのことですが、その差は歴然。
真糊糸目友禅は、目にはんなりと映ってきます。
このように桒垣さんの満足いく技術の職人さんは、京都でもほんの数名とのことでした。
・・・・・その3へ続く・・・・・